安全に車に乗るために欠かせないのが定期的なメンテナンス。車に乗っていると数々のメンテナンスに費用がかかりますが、なかでも2年に1度の車検は必ず受けなければ法律上、車を動かすことができません。とはいえ車検に出すのは手間がかかりますし、車検費用もそれなりに高くつくため、なるべくなら1度で通過してほしいですよね。
しかし、すべての車が問題なく車検に通過できるとは限らず、特にメンテナンス不足の車は修理後の再検査が必要となることもあります。そうならないためにも日頃からのメンテナンスは重要ですが、具体的にどこをチェックしておくべきかわからないという人も多いでしょう。
そこで今回は、これから車検を受ける人に向けて、車検に通過できない車の特徴について詳しく解説していきます。万が一再審査になった場合の対応についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
車検に通らない車の特徴
車検に通らない車に共通してみられるのは、“部品の劣化や欠損などにより安全走行に支障がある”とみなされるケースです。保安基準を満たしているかという観点が大きなカギとなります。具体的に、車検に通過できない車によくみられる特徴について見ていきましょう。
タイヤが劣化・摩耗している
タイヤは車を安全に動かすために重要な部品ともいえます。タイヤにひび割れや傷などがあるとパンクやバーストの恐れがあり、タイヤの溝が浅く、摩耗した状態ではスリップを起こしたりブレーキの効きが悪くなったりといずれも大事故を招くことになりかねません。
タイヤの劣化具合は、スリップサインの確認や空気圧チェックを定期的に行うことで判断することができます。気になる場合は車検前にタイヤ交換を行いましょう。
オイルが漏れている
エンジンオイルはパッキンやシールの劣化によって起こり得る現象です。オイルがにじむ程度であれば車検に通るケースもありますが、明らかなオイル漏れが確認された場合は再検査となる可能性があります。
また検査時にオイル漏れが確認されず車検に通過できたとしても、オイル漏れの心配がある場合にはディーラーや整備工場などで点検してもらった方が安心できるでしょう。
クラクションが故障している
車検ではハンドル回りの点検も行われます。クラクションの音が鳴らなかったり、改造により音が正常でなかったりすると車検には通過できません。音色や音の大きさなどに細かく保安基準が定められています。
マフラーやフレームが破損している
マフラーの損傷やフレーム部分の傷やサビといった損傷が著しく見られる場合は、車検に通すことはできません。特にマフラーの損傷は排気量や騒音などに関わる恐れがあるため、劣化が激しい場合は交換が必要となるでしょう。
ライトにひび割れが入っている
車検ではヘッドライトの光量と光軸などを測定します。光が漏れるほどのひび割れは光軸が合わない原因にもなることから車検には通りません。また、ヘッドライトの黄ばみやくもりにより光量不足となった場合も車検には通過できませんので、日頃からヘッドライトのケアをしておくことをおすすめします。
発炎筒を装備していない
発炎筒を使う場面はめったにありませんが、発炎筒には車載義務があり車検の検査項目にも含まれています。検査で認められる発炎筒の種類にも注意が必要です。
- 夜間200mの距離から確認できる赤色の灯光を発するものであること
- 自発光式のものであること
- 使用に便利な場所に備えられたものであること
※運転席または運転者の乗降口において直接確認できない場所、容易に取り外しができないもの - 振動、衝撃などにより損傷を生じ、作動するものでないこと
参考:国土交通省|道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第64条(非常信号用具)
発炎筒には有効期限がありますが、期限が切れていても正しく車載していれば車検に通過することは可能です。しかし、湿気を吸収し性能の著しく低下した発炎筒は保安基準を満たしていないと判断されることがあるため、車検前には有効期限を必ず確認しておきましょう。
有効期限のないLED式の発炎筒だと期限切れを気にせず使えて便利です。
保安基準を超えた改造をしている
改造車でも保安基準を満たし必要な手続きを済ませれば、車検に通すことは可能です。しかし、安全基準を満たしていない改造はもちろん認められないので、改造を施す際には注意しましょう。
なかでもエアロパーツなどを装着した際に、車体サイズが変わってしまうケースは要注意です。またホイールを重厚なものに変えたり、重量のあるターボエンジンに積み替えた場合などは車両重量も変化してきますが、このケースにおいても規定の保安基準が定められています。
以下、具体的な数値を確認しておきましょう。
(乗用車の場合)
種類 | 長さ(mm) | 幅(mm) | 高さ(mm) | 車両重量(kg) |
---|---|---|---|---|
普通自動車 | ±30 | ±20 | ±40 | ±60 |
軽自動車 | ±30 | ±20 | ±40 | ±40 |
参考:独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規定|別添4「改造自動車審査要要領」
上記の範囲内であれば改造は可能ですが、どの数字からも大幅な改造は認められていないことが考えられるでしょう。なお車両のサイズや重量以外にも改造するパーツごとに細かな規定が定められているので、自分の愛車が知らずに違法車両となってしまわぬよう、カスタマイズの際には信頼のおける整備工場などに依頼することをおすすめします。
車検に通らなかった場合は再検査となる
車検の検査基準を満たせず再検査となった場合、検査の当日中であれば2回まで無料で再検査を受けることができます。カー用品店などで自ら部品を調達して修理したり近くの整備工場などに依頼したりするなどして不適合箇所の点検・整備を行いましょう。
当日中の再検査が難しい場合は「限定自動車検査証」の発行を受け、別日程で再検査を受けることも可能ですが、この場合には1,300円の検査手数料が必要となります。
「限定自動車検査証」の有効期間は発行日を含む最大15日間です。万が一15日以内に再検査を受けられなかった場合、検査は一からやり直しとなり、普通車1,800円、小型車1,700円の検査手数料がそれぞれ発生することになるため注意しましょう。
車検に通るためには?
問題なく車検に通過するためには、日頃から定期的なメンテナンスを行うことが大切です。
ユーザーによる日常点検は法律でも定められており、車検時以外においても日常的な点検は欠かせません。
それ以外にも車検を受けるうえでの大前提となるチェック項目があるので、こちらもしっかりと抑えておきましょう。
日頃から点検を怠らない
国土交通省において、車の安全走行のための点検整備は使用者の義務であると定義されており、定期的なメンテナンスは車検を受けるうえでの大前提事項であるともいえます。安全走行のためにも日頃から車に異常がないかどうか、しっかりと点検を行いましょう。
反則金の未払いは支払っておく
駐車違反の違反金の支払いが滞っていると車検に合格しても検査証の交付を受けることができません。一定期間内の未払いであれば問題はありませんが、公安委員会からの督促状が届いてしまうと「車検拒否」の対象車両になってしまうため注意しましょう。
基準を超えた改造は避ける
法律違反に値するほどの不正改造は避けましょう。また、そのつもりが無くてもカー用品店などで購入したパーツを自分で装着するなどして、知らずに保安基準から外れていたというケースもあるかもしれません。違反が発覚した場合は6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることにもなるため、カスタマイズの際は十分に配慮しましょう。
車検に必要な書類をしっかり揃えておく
車検では車検証のほか、「自賠責保険証明書」「自動車納税証明書」などの必要書類がいくつかあります。これらを無くしてしまうと再発行の必要性があり、手間がかかることになります。車検に必要な書類は車検証ファイルと一緒にまとめてダッシュボードに入れておくのがおすすめです。
車検に通るために事前の確認をしておこう
車検の保安基準を満たしているかどうかは、日頃のメンテナンスがカギを握っているといえるでしょう。素人目にはわかりづらい箇所でも、異音がしないか、走行中不自然な箇所がないかといった車の不調を感じ取ることも大切です。また無理な改造はなるべく控え、カスタマイズを施すときは可能な限り信頼のおける整備工場などに依頼することをおすすめします。
問題なく車検に通過するために、上記に挙げた確認事項や車検の検査項目について事前にしっかりと確認し、車検に向けて万全の準備を整えましょう。
まとめ
今回はこれから車検を受ける人に向けて、車検に通過できない車の特徴について詳しく解説しました。
部品の劣化や損傷により安全基準を満たしていなかったり、過度な改造によって環境性能や安全性能が著しく損なわれていたりすると車検に通過することができません。車検の検査基準は第一に「安全に車を走行できるか」といった観点から検査が行われているため、このことを踏まえ、日常的にメンテナンスを行うことは非常に重要です。
車検にスムーズに通過するためにも基本的な確認事項を抑え、車検に向けて事前準備をしっかりと行いましょう。