インロック・インキーとは?

車のトラブルの中でも、バッテリー上がりやパンクなどとともに非常に多いのが、車内にキーを残したまま外に出て、ドアをロックしてしまういわゆる「インロック(インキー)」です。「キーの閉じ込み」などともいわれます。インロックとなってしまえばキーが手元にないのですから車のドアを開錠できません。まさかピッキングをするというわけにもいかないでしょう。
最近は、キーレスエントリーシステムが普及したことで、インロックとなることは確実に減りました。またキーを持っているだけでロックの開錠やエンジンスタートが可能な「スマートキー」も当たり前のものとなりつつあり、簡単にインロックするようなことはなくなってきています。
しかし、それでもちょっとした油断やトラブルからインロックとなってしまうケースもまだまだあるのです。
例えばスマートキーの電池切れや、電波環境の悪化、子供やペットが誤ってロックしてしまうということも場合によってはあるようです。では、もし出先でインロックとなってしまった場合、どうすればいいでしょう。
何らかの方法で開けることは可能なのでしょうか。その場合どこに依頼すればいいのか、また、いくらくらいかかるのか、インロックとならないためには何か予防策などはないのか。今回はそんな「インロック(インキー)」の対策方法に関して詳しく解説します。
インロック・インキーが起こる原因

スマートキーが当たり前となった今、インロックが発生する可能性は大きく減少しています、それなのに、なぜ、今でもインロックというトラブルが起きてしまうのでしょう。その原因をいくつか紹介します。
車内にカギを残したまま施錠してしまう
もっとも単純なケースはドライバーの不注意です。車のキーを車内に残したままドアを閉める際に習慣でロックしてしまいインロックとなってしまうケースです。
これは特にベテランドライバーに起きやすいものですが、昔の車では予めロックボタンを押した状態でドアノブを引きつつ、ドアを閉めると、キーを使わずにドアにロックがかけられました。
キーレスエントリーの普及で、ドアノブでロックする習慣は減りそのようなことはめったにないはずなのですが、その時の習慣がクセになっているとついついそんな行動をとってしまい、ふとしたときにインロックとなってしまうということもあるようです。
子どもやペットが車内から施錠してしまう
子どもやペットが原因でインロックが起きてしまうこともあります。ちょっと用事を済ませるだけだからと、子供やペットを車内に残してエンジンをかけたまま車を降りて、もどってきたらドアがロックされていたというケースです。
これは、子供やペットがたまたまドアにロックをかけてしまい、結果インロックとなってしまったもの。車内に残したのが意思疎通のできる年齢の幼児なら車内からロックを開錠してもらうこともできるかもしれませんが、乳幼児やペットの場合はそれも難しいでしょう。もし、真夏にそのような状況となってしまえば、車内に残された子供やペットは命の危険にさらされます。非常に危険です。
スマートキーの電池が切れる
意外に見落としがちなのがスマートキーの電池切れです。スマートキーは車の近くにキーがあればドアノブを操作するだけでドアの開錠・施錠が可能なので、車内にキーを残した状態でも通常はキーを持っていなくてもドアのロックは解除できるはずです。
スマートキー搭載車は、スマートキーから発信される電波を車側で受信することでドアの開錠・施錠を行っています。しかしスマートキーの電池が切れている(弱っている)と、その電波が正しく送信されず、キーが車内にあるのにドアの開錠・施錠ができなくなってしまうということもありえます。そのためスマートキーでもインロックが起きてしまうのです。
スマートキーの電波が正常に受信されない
また、スマートキーの電池が十分にあっても、スマートキーからの電波が遮断もしくは阻害されている環境でもスマートキーが正しく働かないこともあります。例えば、ドアポケットにスマートキーを入れておいたら、たまたまその場所が電波に影響してインロックとなってしまう、ということも中にはあるようです。
また、スマートキーは電波を発信していますがそのスマートキーの近くにスマートフォンを置いておいたら、スマートキーからの電波に影響してロックがかかってしまうということも、あるとされています。
さらに、非常にまれなケースですが、車の近くに送電線や放送施設などがあると電磁波の影響でスマートキーが動作しにくくなるということもあるようです。目に見えない電波を使っているスマートキーでは、このようなことが原因で運悪くインロックとなってしまうケースもあるようなので気を付けましょう。
インロック・インキーの開け方

もしインロックとなってしまった場合、どのようにしてロックを解除しドアを開ければいいのでしょう。
スペアキーを使う
もっとも当たり前の方法がスペアキーでロックを解除するという方法です。自宅近くの駐車場などでインロックとなった場合は、自宅に帰りスペアキーを持ってくれば自力でロックの解除が可能です。
おそらく、ドライバー自身が、自力でインロックを解決できる方法としてはこれが唯一の手段でしょう。自宅から遠く離れた場所でインロックとなってしまった場合、スペアキーを取りに帰るのに時間も手間もかかりますが確実な方法です。
ロードサービスに連絡する
自力でインロックを解決するのはスペアキーが手元にない限り難しいでしょう。その場合頼るべきはやはりロードサービスです。JAFなどのロードサービスに連絡し、ロックを解除してもらうのが簡単で確実です。
料金はJAF会員でない場合は15,230円ですが、JAFの会員であればインロック(キーとじ込み)の対応は無料で行ってもらえます。
もしJAFの会員でない場合は、加入している任意保険のサービスを調べてみましょう。最近は任意保険にも無料ロードサービスがついているのでそちらを利用すれば費用も掛からないはずです。
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鍵屋に連絡する
ロードサービスではなく、鍵の専門店でも車のインロックの対応をしてもらうことは可能です。鍵屋はカギの専門家なので、車のカギを開ける技術もありますし、そのための道具も揃っているので、スピーディに解決してもらえるはずです。また、全国各地にそういった鍵屋はあるので、比較的早く現場に駆け付けてもらえる可能性もあります。
とにかく早くインロックを解決したいという場合は、鍵屋に依頼するというのも一つの方法です。
鍵屋のインロック解除の料金相場
鍵屋にインロックの解除を依頼したときの料金は、業者にもよりますが、通常の刻みキー(キーにギザギザの刻みがあるもの)で8,000円~くらいが相場のようです。それよりも複雑なスマートキーやイモビライザー内蔵型など電子機能が組み込まれた鍵の場合は多くの場合30,000円以上と高額になるようです。専門家に依頼するのですから当然費用がそれなりにかかります。
もし、そこまで急ぎでない場合は、まずは、自動車保険(任意保険)の無料ロードサービスなどを利用したほうがいいかもしれません。
緊急性が高い場合は消防に連絡する
炎天下や極寒の日に子供がインロックした車内取り残されているなど緊急性が高い場合は、すぐに119番通報をして、救急隊に助けてもらいましょう。
その場合はピッキングなどでロックを解錠するなどという悠長なことはせず、窓ガラスを割って助けてもらうことになります。のちにガラスの修理代かかりますが、お金よりも命の方が大切ですね。迷わず119番してください。
絶対にやってはいけないインロック・インキーの開け方

上記の方法がインロックに関する適切な解決方法です。逆にやってはいけないインロックの解除方法が以下です。
差し金やハンガーでこじ開ける
映画やドラマなどでやっているように、差し金やハンガーでロックが解除できるのではないかとチャレンジするのはやめた方がいいでしょう。Youtubeなどで、そういった方法を紹介している動画もありますが、素人がやっても車に傷をつける可能性が高いです。
また、最近の車は差し金などでは簡単に開けられないように対策されている車もあるので、おそらくは徒労に終わるはずです。やめた方が賢明です。
ピッキングをして開ける
同じようにツールを使ったピッキングもやめたほうがいいでしょう。鍵の専門家は簡単にやっているように見えますが専門の知識を持ち、十分な訓練を受けているからピッキングができるのです。素人が見様見真似でやったところで鍵穴内部を破損して、かえって高い修理を払うことになるだけです。やめておきましょう。
窓ガラスを破壊する
最終手段として窓ガラスを割るという方法もありますが、よほど緊急事態でない限りはやるべきではありません。よほどの緊急事態とは、例えば炎天下で子供が車内に取り残されていて、119番しても救急隊の到着が何らかの事情で遅れている、といったケースです。
そのような緊急性の高い状況ではなく、ただ、ドアを早く開けたいからと、安易に窓ガラスを割ってしまうと、非常に危険ですし、高額な修理費もかかってしまいます。ロードサービスや鍵屋など先に紹介した方法を試すのが間違いありません。
インロック・インキーをしないための対策

ではインロックなどのトラブルを避けるにはどうすればいいでしょうか。
カギを常に持ち歩く
スマートキーを使用していると、車に乗り込む際にもいちいちポケットやカバンからカギを出す必要がなく、カギの有無の確認をおろそかにしてしまいがちです。
しかし、そんなときに限ってインロックなどのトラブルが発生するものです。常に鍵の存在を意識しましょう。そして、車から離れる際は必ず鍵を持つという習慣をつけておきましょう。
スマートキーの電池を早めに交換する
スマートキーの電池切れや電池残量不足が原因で、車内にキーがあっても開錠・施錠ができなくなりインロックとなってしまうケースがあります。そのためスマートキーの電池残量には常に気を付けておきましょう。
電池残量が少なくなるとLEDランプやモニターなどでアナウンスしてくれる車種もあります。もしアナウンスがあったらすぐに電池交換をしましょう。電池交換はDIYでも可能ですが、自動車ディーラーなどでも依頼できます。
事前にスペアキーを作っておく
万が一を考えてスペアキーを作っておくのもインロックの予防になります。スペアキーは鍵屋などでつくることもできますが、最近のスマートキーの場合は正規ディーラーでないと作れないものもあります。イモビライザーや電子部品などもあり、とても複雑なものなので、作製にかかる日数も3日~1週間以上と時間がかかります。
スマートキーのスペアキーの作製を依頼した場合、鍵屋さんの場合なら、国産車で2~5万円ほど、イモビライザー搭載型なら5~10万円程度かかります。
ディーラーに依頼した場合は、国産車で5,000~3万円ほど、イモビライザー搭載型なら2~4万円程度かかるようです。スペアキー作製の料金をできるだけ安くしたいのであれば、ディーラーに依頼した方がいいでしょう。
スペアキーを作ったら、普段持ち歩くカバンや財布の中などに(ドアのロックが開錠できるメカニカルキーだけを)予備として入れておくのも1つの対策になります。
まとめ

本来インロックなどが起きるはずがないスマートキー車でも、ご紹介したように、状況によってはインロックが発生してしまうことがあります。便利で高性能なスマートキーを使っているからといって、油断はしないようにしてください。
鍵は常に身近に置く習慣をつけ、ちょっと用事を済ませるだけだからなど、車内にキーを残したまま車から降りるようなことはやめましょう。使う人のわずかな油断でもインロックは発生します。
もしインロックで車内に小さなお子さんやペットなどが取り残されてしまえば、命の危険にもつながります。くれぐれも気を付けてください。
インロックが自力で解決できないという場合は無理せず、ロードサービスや鍵屋、いざというときは119番に早めに連絡するようにしてください。