車は屋外で使用するものなので、時間がたてばどうしても汚れてしまいます。タイヤに巻き上げられたホコリや泥、雨や空気中に漂う排気ガスなどがボディやウインドウガラスに付着してしまい、どうしても汚れは避けられません。
特に水垢は、洗車だけではなかなか落とし切れないやっかいな汚れです。ドアノブやミラーの下などから地面に向かって黒い筋のようにできたり、ウインドウガラスに白い輪っか状で残ったりします。
当記事ではそんな厄介者の水垢について、どのようなケアが必要で、水垢を防ぐ効果的な方法はないのかなどについて詳しくご紹介します。
INDEX目次
車の水垢とはどんな汚れ?
水垢は、大気中のチリやホコリ、排気ガスなどの不純物や水道水に含まれるカルシウムやミネラル成分が、ボディ表面やガラス面に残って跡になったものです。
雨が降ると車のボディに雨水が付着します。天候が回復すれば雨水自体は蒸発してなくなりますが、水分に含まれていた汚れは蒸発せず残ってしまうのです。それらが徐々に蓄積して、白や黒の水垢になってしまいます。
車の水垢の原因
ボディの表面にできてしまう水垢には、大きく分けて2つのタイプがあります。それが水性の水垢と油性の水垢です。水垢のできる原因もそれぞれ違います。水垢の種類によってその取り除き方も変わってくるので、まずは見極めることが大切です。
水性の水垢の原因
大気中のチリやホコリ、走行時に巻き上げられた砂などの汚れが雨水などに混じり、それがボディに付着して水分だけが乾き蒸発してしまうとできるのが水性の水垢です。別名イオンデポジットとも呼ばれ、汚れが白っぽくリング状の跡になっているのが特徴です。
また、洗車の際に使用する水道水にもカルシウムやミネラル成分が含まれており、これが残留物となってウインドウガラスの表面に残った跡も水性の水垢です。
水性の水垢は、主に水に溶けやすい水溶性の汚れが付着したものを指します。
油性の水垢の原因
油性の水垢の主な原因はワックスやコーティング剤、潤滑スプレー、グリスといった油性のカー用品です。
油性の成分が雨などと一緒に流れ出し、乾くことで水垢が発生します。油性の水垢は水に溶けにくく、簡単には落とせません。時間がたつにつれて強く固着するため、こまめに洗い落とすことがおすすめです。
また油性の水垢はチリやホコリといった汚れも混ざり、黒い跡や筋となってボディに残ってしまいます。車の外観にも悪影響なので注意しましょう。
車の水垢を放置するリスク
水垢は、雨が降るたびに汚れが蓄積していきます。そして、放置すればするほど取り除くのが困難になります。発見したらできるだけ早急に取り除くべきです。
また、水垢は単に見た目を悪くするだけではありません。それ以外にもリスクがあるのでご紹介します。
車のボディ塗装にダメージを与える原因になる
装面に白く残った水垢は別名イオンデポジットとも呼ばれます。このイオンデポジットを放置しておくと、汚れ部分に水滴がレンズ状にたまります。そして、そこに日光が当たることで熱を集め、レンズ効果で塗装面を焼いてしまうなどのダメージを与えます。
やがて塗装面にまでダメージが浸食してウォータースポットと呼ばれるものになります。ウォータースポットは汚れではなく塗装の傷です。
水垢がウォータースポットにまで進んでしまうと、塗装面に重大なダメージを与えてしまうため、DIYで修復するのは非常に困難になります。
汚れが蓄積して落ちにくくなる
水垢がさほど目立たない初期の状態であれば、水洗いだけでもある程度落とすことが可能です。しかし長期間放置していると、どんどん水垢が蓄積していきます。
そして水垢がウォータースポットにまで進行してしまうと塗装自体に傷をつけることになり、洗車だけでは除去ができなくなります。最悪のケースでは表面を研磨しなくてはなりません。そこまで悪化する前に早めに対処するのが正解です。
車のコーティング効果が弱まる
ボディコーティングやカーワックスを使用すると、デリケートなボディの塗装面を被膜によって保護することが可能です。そして、水垢の原因となる雨水などを弾く効果を発揮し、水垢をできにくくしてくれます。
しかし、雨の後に水滴を拭き取らず放置していると、コーティングの被膜の上にも水垢ができてしまいます。コーティング被膜には撥水効果がありますが、その上に水垢ができてしまうと撥水効果はなくなってしまいます。
最終的にコーティング効果が弱まってしまうので、水垢がさらに悪化するかもしれません。ボディコーティングをしていても、雨の後はなるべく早めに水洗いと拭き取りを行うなどのケアをすることが大切です。
車の水垢の落とし方について
車に水垢ができてしまった場合の取り除き方や、水垢の除去に役立つアイテムについてご紹介します。なおボディの塗装面と、ウインドウガラスでは水垢の取り除き方が違うので注意してください。
車のボディについた水垢の場合
水垢ができたばかりの初期の状態であれば、まず水洗いを行います。軽度の水垢なら水洗いだけである程度落とせるはずです。
初期の水垢にはカーシャンプーがおすすめ
水洗いでは落とし切れない水垢でも、まだ跡がそれほど目立たない初期の段階のものなら、カーシャンプーで取り除くことができます。通常の使い方と同じく、泡立てて車体を洗ってみてください。
落ちにくい水垢・油性の水垢は台所用洗剤や重曹
カーシャンプーでも落ちない水垢や油性の水垢には、台所用洗剤を使ってみても良いでしょう。台所用洗剤には油分を分解する成分が多く含まれています。一方で研磨剤は含まれていないため、塗装やガラスを傷つける心配がありません。
洗剤を10倍程度に水で希釈したら、しっかり泡立てて洗います。台所用洗剤は泡切れが悪いので、使用後は洗剤成分が残らないよう入念に水洗いをしてから拭き上げましょう。
また、ご自宅などに掃除用の重曹がある場合も水垢落としに活用できます。アルカリ性の重曹は油性の水垢を分解してくれますし、塗装面へのダメージもほとんどありません。
柔らかいスポンジを水に浸し、重曹を少量のせたら、塗装面になじませるように軽くこすって水垢を落とします。水垢が除去できたら、しっかり水洗いして重曹を完全に落としてください。
長期間放置してしまった水垢には専用クリーナーを
長期間放置して、シャンプーや洗剤、重曹などでは落ちなくなってしまった頑固な水垢には車の水垢専用のクリーナーを使いましょう。
水垢専用クリーナーはカー用品専門店の洗車用品売り場などで簡単に手に入ります。水垢専用クリーナーにはスプレー式の液剤で水垢を落とすタイプのほか、コンパウンド(研磨剤)タイプで水垢を削り落とすものがあります。
スプレー式は使い方が簡単ですが、水垢除去の効果はコンパウンドタイプのほうが強力です。ただし、コンパウンドタイプは使い方を誤ると塗装面を傷つけてしまうこともあるので、説明書をしっかり読んで正しく使用してください。
車のウインドウガラスについた水垢の場合
車のボディではなくウインドウガラスにできてしまった頑固な水垢は、また別の方法で対処しましょう。ガラス専用のクリーナーや、お酢やクエン酸などが有効です。
新しい水垢にはガラス用クリーナーを使う
できたばかりの新しい水垢なら、カーシャンプーを使用して洗車をするか、ガラス用クリーナーなどを使えば落とすことが可能です。通常の洗車と同じ手順で、車をしっかり洗うと良いでしょう。
頑固な水垢にはクエン酸やお酢を使う
洗車では落ちない水垢は、クエン酸やお酢などが有効です。これらに含まれる酸がアルカリ性の水垢を中和し、水性の水垢を落とすことができます。
クエン酸やお酢を使う場合、水100mlにクエン酸もしくはお酢を小さじ2分の1程度溶かしましょう。即席の容器でも大丈夫ですが、スプレーボトルなどに入れて活用すると使い勝手が良くなります。
次に柔らかな布やスポンジを水溶液に浸ししてから軽く絞って、ガラス表面の水垢をこすりながら落とします。
注意しなくてはいけないのはクエン酸やお酢は酸性のため金属に付着するとサビの原因になるということ。金属部分に水溶液が付着してしまったら、すぐに洗い流しましょう。
また、なかなか水垢が落ちない場合は、クエン酸やお酢を溶かした水溶液をティッシュやキッチンペーパーに染み込ませ、水垢の上に貼りつけましょう。30分程度パックすれば、頑固な水垢も落ちるはずです。
水垢を落とした後は洗車をして仕上げる
水垢の処置が終わったら最後に再度洗車をして、水垢クリーナーやコンパウンド、クエン酸水溶液などをしっかり洗い落とします。そしてコーティング剤やワックスなどで仕上げて、ボディ表面に水垢ができにくいようにコーティングの保護膜を作っておきましょう。
正しい洗車の手順
洗車は正しい手順で行わないとかえってボディにダメージを与えてしまいます。下記で紹介しているポイントを参考にして正しく洗車を行いましょう。
水洗いのセオリーは上から下へ
まずは水でボディ全体を水洗いします。洗車はできる限り日陰で行いましょう。もしくは曇り空の日に行います。直射日光下では、かけた水がすぐに乾いてしまい、かえって水垢を作る原因になるので注意してください。
洗い方の基本は上から下です。ルーフなど高い所から、ウインドウガラス、ドア、ボディ下へと低い所に向かって洗い進めることで、汚れを効率的に地面に流し落とすことができます。
シャンプーをしっかり泡立ててから洗う
水洗いを終えたらシャンプーです。バケツにカーシャンプーを少量入れたら、その上から勢いよく水を注ぎ、水圧でシャンプーをしっかり泡立てます。
泡立ったシャンプーをスポンジに取り、水洗いの時と同様にボディの上から下へと洗います。こうすることでキレイになった部分を再びスポンジで汚すことなく、スムーズなシャンプーが可能です。
ドアノブのフチやエンブレム、ミラーの下側といった水垢ができやすい部分は入念に洗いましょう。
水洗いでシャンプーを洗い流す
シャンプーを終えたら、再び水洗いをしてシャンプーをしっかり流し落とします。洗い方は同じく上から下です。ボディにシャンプーの成分が残っていると、水垢ができやすくなるので入念に洗いましょう。
水洗いを終えた後は、拭き取り専用のウエスを使って水分が乾かないうちに素早く拭き上げます。
ボディとガラスをコーティングして保護
拭き上げが終わったら、ボディにワックスもしくはコーティング剤を使って表面を保護します。ウインドウガラスにはガラスコーティング剤を使うと良いでしょう。
ボディ、ガラスそれぞれの表面に保護膜を作っておくことで、雨などが降っても水分が残りにくくなり水垢を予防することができます。また水垢ができても、塗装面のクリア層の保護効果が期待できます。
洗車の際に気をつけるべきポイントは?
洗車を行う際に、気をつけておきたいポイントをまとめてみました。
晴れている日は洗車を避ける
ボディやウインドウガラスに付着した水分が自然乾燥すると、水垢のできる原因となるので晴れている日はできるだけ洗車を避けます。曇り空がベストです。もしくは直射日光が当たらない日陰で洗車を行うようにしてください。
車の上から下に向かって洗う
水洗いやシャンプーの基本は上から下。ルーフからはじめてボディの下へと汚れを落としていきます。こうすることで落とした汚れが再び付着するのを防げます。
シャンプーの泡など洗い残しがないようにする
シャンプー洗い後はシャンプーの成分が残らないようしっかり流し落とします。そして、洗い終えたら水滴が自然乾燥しないうちに、素早く乾いたウエスで拭き取ります。
汚れを洗い流した後は、コーティングによって車の表面を保護します。こうすることで水滴や汚れが付着しにくくなり、水垢の予防につながります。
洗車の頻度はどれくらいが良い?
水垢の予防には定期的な洗車がとても有効です。少なくとも月に1回程度は洗車を行う習慣をつけておきましょう。
定期的にコーティングやワックスでボディを保護することで水垢がつきにくくなりますし、コーティングされていれば水垢ができてしまっても水洗いやシャンプー洗車程度で十分落ちるはずです。
また、雨の後や泥がはねが付着してしまった場合はなるべく早めに洗車してしっかりと水分を拭き上げます。水分がボディやガラスの表面で自然乾燥するのが水垢の大きな原因。汚れが付着したら水洗いをして、しっかりと拭き上げることで水垢を防ぐことが可能です。
まとめ
車に乗っていれば、どうしてもできてしまうのが水垢です。ボディカバーを常に使用したり、屋内で車を保管していない限り、水垢を完全に防ぐというのは難しいでしょう。
しかし、水垢ができてしまっても日ごろから定期的に洗車などのケアを行っておけば、初期の水垢なら取り除くことは簡単です。コーティングをしておけば水垢もつきにくくなります。
ポイントはなんといっても定期的なケアです。どうしても粗ライバーの負担はかかりますが、洗車とコーティング作業は習慣づけることをおすすめします。たかが水垢ですが、長期間放置しておけば最悪塗装への大きなダメージにもつながりかねませんので、くれぐれも甘く見ずに気をつけましょう。