車を購入する前に知っておきたいのは、車に関わる保険です。自賠責保険と任意保険があり、それぞれ違う保険なので、違いを理解して正しく加入・利用する必要があります。
今回は、自賠責保険と任意保険の違いやそれぞれの補償範囲などを詳しく解説します。保険についてまだ調べていない方は、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX目次
自賠責保険とは
自賠責保険とは、車の所有者に加入が義務付けられている保険です。事故に起きた際に、傷害や後遺障害、死亡などの損害に対して補償が行われます。
自賠責保険に未加入または期限切れの場合に運転してしまうと、懲役や罰金、違反点数といった罰則が科されますので注意が必要です。。
自賠責保険料は、車種と保険期間に応じて決められています。離島以外の地域と離島地域の保険料は、以下の表の通りです。
〇離島以外の地域
軽自動車 | 自家用乗用自動車 | |
---|---|---|
24ヶ月契約 | 19,730円 | 20,010円 |
25ヶ月契約 | 20,310円 | 20,610円 |
36ヶ月契約 | 26,760円 | 27,180円 |
37ヶ月契約 | 27,330円 | 27,770円 |
〇離島地域
軽自動車 | 自家用乗用自動車 | |
---|---|---|
24ヶ月契約 | 7,350円 | 7,900円 |
25ヶ月契約 | 7,440円 | 8,010円 |
36ヶ月契約 | 8,380円 | 9,200円 |
37ヶ月契約 | 8,460円 | 9,300円 |
参照:損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」
任意保険とは
任意保険とは、「任意」とあるように、加入するかしないかを利用者自身で決められる車の保険です。
自賠責保険との違いで詳しく解説しますが、自賠責保険と補償範囲が異なっているので、自賠責保険で補償しきれない部分をカバーできます。自賠責保険に含まれていない損害を補償できるだけでなく、自賠責保険の補償額を超えた場合にも補うことが可能です。
加入は任意であるものの、より安心して車を利用するために、自賠責保険とセットで加入しているユーザーも多くいます。
自賠責保険と任意保険の大きな違い
自賠責保険と任意保険の大きな違いは、以下の3つです。
- 自賠責保険は必ず加入しなければならない
- 2つの保険で、補償範囲が異なる
- 任意保険には特約とロードサービスがある
両者の違いを正しく理解していきましょう。
自賠責保険は必ず加入しなければならない
両者の概要でも触れたように、加入義務に違いがあります。自賠責保険は必ず加入しなければなりませんが、任意保険は加入してもしなくても問題ありません。
自賠責保険に加入していない場合に、公道を運転すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金、違反点数6点以上の罰則は科されます。未加入または期限切れで事故を起こしてしまえば、補償なしで自己負担で賠償しなければなりません。
2つの保険で、補償範囲が異なる
自賠責保険と任意保険は補償範囲が異なっており、それぞれの内容は以下の通りです。
補償範囲 | |
---|---|
自賠責保険 | ・傷害による損害:限度額120万円 ・後遺障害による損害:限度額4,000万円 ・死亡による傷害:限度額3,000万円 |
任意保険 | ・対人賠償保険 ・対物賠償保険 ・人身傷害保険 ・搭乗者傷害保険 ・車両保険 ・無保険車傷害保険 |
自賠責保険の補償対象は被害者の人的損害であり、人的損害の補償はありません。一方、任意保険の補償対象は被害者の人的損害をはじめとして、相手の車やもの、建物なども含まれます。被害者だけでなく、契約者本人やその家族への補償も充実しているのが特徴です。
自賠責保険では補えない部分が任意保険には含まれているので、あらゆるトラブルに対応するためにはセットでの加入をおすすめします。
任意保険には特約とロードサービスがある
任意保険には、上記で紹介した各種保険に加えて、弁護士費用特約やロードサービスなどが付帯しています。弁護士費用特約とは、事故の相手とのやり取りを弁護士に依頼する場合の費用を補償してくれる特約です。特約は、弁護士費用特約だけではないので、どのような特約があるか事前に調べましょう。
ロードサービスは、バッテリー上がりや燃料切れなどの際に、無料で現場に助けにきてくれるサービスです。事故以外のトラブルにも備えられます。
自賠責保険と任意保険の補償範囲の違い
自賠責保険と任意保険の違いでも解説したように、それぞれの補償範囲は異なります。両者の補償範囲を詳しくまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
自賠責保険の補償範囲
自賠責保険の補償範囲は、以下の通りです。
傷害による場合
傷害による損害に対しては、被害者1名につき限度額120万円で、治療関係費や文書料、休業損害、慰謝料などが支払われます。
それぞれの内訳や内容は、以下の通りです。
治療関係費 | ・治療費 ・看護料:入院1日4,200円、通院1日2,100円 ・諸雑費:1日1,100円 ・通院交通費 ・義肢などの費用 ・診断書などの費用 |
---|---|
文書費 | 交通事故証明書や印鑑証明書などの発行手数料 |
休業損害 | 傷害によって発生した収入の減少を補償:原則1日6,100円 |
慰謝料 | 傷害による精神的・身体的苦痛への補償:1日4,300円+傷害の状態や治療日数に応じた金額 |
後遺障害による場合
事故によって相手に後遺障害が起きた場合は、逸失利益や慰謝料などの支払いが行われます。
補償内容と限度額は、以下の通りです。
〇補償内容
逸失利益 | 障害にともなって将来発生する可能性のある収入減 |
---|---|
慰謝料など | 傷害による精神的・身体的苦痛への補償 |
〇限度額
度額(被害者1名につき) | |
---|---|
神経系統の機能や精神・胸腹部臓器への著しい障害があり、介護を要する場合 | ・常時介護を要する場合4,000万円 ・随時介護を要する場合3,000万円 |
上記以外の後遺障害 | 75万円(第14級)~3,000万円(第1級) |
死亡による場合
被害者が死亡した場合は、被害者1名につき3,000万円までを限度に保険金が支払われます。
補償内容は、以下の通りです。
葬儀費用 | 葬儀にかかる必要:100万円 |
---|---|
逸失利益 | 将来得たはずの収入から生活費を控除した額を算出し補償 |
慰謝料 | ・被害者本人:400万円 ・遺族:請求者1名550万円、2名650万円、3名以上750万円 ※被扶養者がいる場合は200万円加算 |
任意保険の補償範囲
続いて、任意保険の補償範囲は、以下の通りです。
対人賠償責任保険
対人賠償責任保険は、ケガや死亡などに対して、限度額無制限で補償が行われます。自賠責保険の補償額を超えた分を補填することも可能です。
対物賠償責任保険
対物賠償責任保険は、相手が所有する車や建物への損害に対して、無制限で補償が行われます。自賠責保険に含まれない物的損害をカバーできるのが特徴です。
人身傷害保険
人身傷害保険は、運転者自身や同乗者に対して適用される補償です。相手に過失がある場合だけでなく、自身に過失がある場合も保険金を得られます。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は人身傷害保険でカバーしていない運転者や搭乗者の死亡、高度障害などに対する補償です。万が一に備えるならば、補償内容に含めると安心でしょう。
車両保険
自分の車に損害が出た場合に、車両保険が適用されます。相手の過失割合だけでなく、自分の過失割合分の保険金も受け取れるのが嬉しいポイントです。いたずらや当て逃げなどによる損害も含められます。
無保険車傷害保険
無保険車傷害保険が含まれていると、無保険車との事故で賠償金が十分に支払われない場合に保険金を受け取れます。任意保険に加入していない車との事故に備えられる補償です。
事故を起こさなければ、任意保険は要らない?
任意保険は自賠責保険をカバーし、手厚い補償を受けることができます。ただ、自賠責保険にプラスして保険料が発生するので、事故を起こさないならば必要ないと考えている人も多いでしょう。
いくら安全運転に自信があっても、安全性能に優れた車に乗っていても、事故を起こす可能性はゼロにはなりません。事故にあう可能性もあるので、任意保険に加入して困ることはないです。むしろ万が一の場合に心強いものとなり、生活を守ってくれるでしょう。
安全なカーライフを送るためにも任意保険に加入しよう
上述したように、事故を起こしたり、事故にあったりする可能性は誰にでもあります。万が一に備えるならば、補償範囲の広い任意保険に加入するのがおすすめです。
事故が起きたときに自分にも相手にも補償が行われ、お互いの生活を支えてくれます。安全安心なカーライフを送るために任意保険の加入を検討しましょう。
まとめ
自賠責保険と任意保険は、加入義務や補償範囲、特約などの面で違いがあります。自賠責保険ではカバーできない部分を任意保険で補えるので、万が一のためにも任意保険にも加入するのがおすすめです。両者の違いを正しく理解した上で、自賠責保険と任意保険の活用を見直しましょう。