車を購入・所有するためには必ず自賠責保険に加入しなくてはいけません。これから車を購入しようと考えている人にとっては、自賠責保険がどのような保険かわからない人も多いでしょう。
今回は、自賠責保険の概要や任意保険との違い、加入・更新方法、料金まで詳しく解説します。
自賠責保険とは?
自賠責保険とは、「自動車損害賠償保障法」という法律によって加入が義務付けられている保険です。車を所有している人は必ず加入しなければならず、自賠責保険の期限が切れた状態で公道を運転すると罰則が科されます。同時に車検が切れていた場合はさらに罰則が重くなるので注意が必要です。
また、自賠責保険は2021年4月1日に約款が改定されました。前年に続く改定となり、2年連続で自賠責保険料が引き下げられています。車の安全機能の向上や昨今の情勢による外出自粛などによって交通事故が減ったのが改定の主な背景です。以下で、自賠責保険の料金や補償範囲などを解説しますので、そちらを参考にしてください。
自賠責保険と任意保険との違い
車に関する保険には、自賠責保険の他に、任意保険があります。両者は同じものではないため、違いを理解しておくことが大切です。
ここでは、加入の義務、補償範囲という2点で、自賠責保険と任意保険の違いを解説します。
加入の義務
自賠責保険は「強制保険」といわれることもあり、車を所有すると同時に必ず加入しなければなりません。加入せずに運転することはできず、加入は自動車ユーザーの義務です。
一方、任意保険は「任意」という言葉がついているように、加入はユーザーの意思に任せられます。加入していなくても車を利用でき、罰則を科されることもありません。ただし、自賠責保険にはない補償があるため、自賠責保険とセットで加入するユーザーも多いです。
補償範囲
自賠責保険と任意保険は、補償範囲が異なります。自賠責保険と任意保険の補償範囲は以下の通りです。
補償範囲 | |
---|---|
自賠責保険 | ・傷害による損害:限度額120万円 ・後遺障害による損害:限度額4,000万円 ・死亡による傷害:限度額3,000万円 |
任意保険 | ・対人賠償保険 ・対物賠償保険 ・人身傷害保険 ・搭乗者傷害保険 ・車両保険 ・無保険者傷害保険 |
自賠責保険は最小限の補償範囲になっており、対応できない損害もあります。限度額を超える損害が出た場合には、自己負担で補償を行わなければなりません。
任意保険は、自賠責保険では補えない部分が補償範囲に含まれています。上記の表はあくまで一例ですが、さまざまな損害に対応しており、自賠責保険を超える部分の保険金支払いも受けられるのが特徴です。
自賠責保険だけに加入するのも間違いではありませんが、万が一に備えるならば、任意保険にも加入し補償範囲を広げると安心です。
自賠責保険の加入・更新
自賠責保険について概要を理解したところで、どのように加入するのか、切れたときどう更新するのかなどが気になっていることでしょう。
自賠責保険への加入方法と更新方法をそれぞれ解説していきます。
自賠責保険への加入方法
自賠責保険に加入するには、簡単な手続きが必要です。保険会社の営業所や窓口で行えるだけでなく、保険代理店となっているディーラーや車販売店、カー用品店などでも手続きを行えます。
自賠責保険加入に必要な書類は、加入の対象となる車両の車検証です。125cc~250ccの小型バイクの場合は軽自動車届出済証、原付の場合は標識交付証明書が必要になります。
必要書類が揃っていれば、手続き当日に自賠責保険の加入が完了するので、加入まで時間がかかることはありません。
加入するタイミングは、納車前がおすすめです。納車されたときには加入が済んでいるので、すぐに車を利用できます。納車後に加入する場合は、加入が済むまで運転できないので注意が必要です。
自賠責保険の更新方法
自賠責保険の期限は車検の期限と重なる場合が多いので、基本的には車検時に更新することになります。その場合、車検料に自賠責保険料が含まれ、支払いと更新を同時に完了できるのが便利なポイントです。
別々に行うこともできますが、両者の有効期限はわずかですが異なります。自賠責保険は満了日の12時まで、車検は24時までとなっているので、同じだと思っていると自賠責保険が切れたまま運転することになるでしょう。
このような事態を避けるためには、余裕を持って車検を行い、同時に自賠責保険の更新を済ませるのがおすすめです。
【2021年最新版】自賠責保険の料金について
自賠責保険の料金は、車種や保険期間に合わせて定められています。2021年4月改定後の料金は、以下の通りです。
〇離島以外の地域
軽自動車 | 自家用乗用自動車 | |
---|---|---|
24ヶ月契約 | 19,730円 | 20,010円 |
25ヶ月契約 | 20,310円 | 20,610円 |
36ヶ月契約 | 26,760円 | 27,180円 |
37ヶ月契約 | 27,330円 | 27,770円 |
〇離島地域
軽自動車 | 自家用乗用自動車 | |
---|---|---|
24ヶ月契約 | 7,350円 | 7,900円 |
25ヶ月契約 | 7,440円 | 8,010円 |
36ヶ月契約 | 8,380円 | 9,200円 |
37ヶ月契約 | 8,460円 | 9,300円 |
参照:損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」
自賠責保険が切れていた場合どうなる?
自賠責保険が切れているだけでは違法ではありません。ただ、自賠責保険が切れたまま公道を走行するのは違反であり、罰則が科されます。もし走行してしまうと、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、違反点数6点以上の罰則です。
また、保険切れのまま万が一事故を起こしてしまった場合は、補償が適用されないので、補償金額をすべて自己負担しなくてはいけません。
自賠責保険へ再加入する方法
自賠責保険の期限が切れてしまったら、速やかに再加入の手続きを行いましょう。再加入の手続きは基本的に新規加入と同じです。
保険会社やディーラー、カー用品店、修理工場などに車検証、自賠責保険証明書、保険料を持参しましょう。125~250ccのバイクは軽自動車届出済証、原付は標識交付証明書が求められます。
保険料については、上述の表や「自動車損害賠償責任保険基準料率」を参考にしてください。
事故の相手が未加入だったら?
自賠責保険の加入は義務ですが、加入していない車が存在するのも現状です。もし事故の相手が自賠責保険に加入していなかった場合、示談交渉がスムーズに進まない、賠償金が支払われないなどのトラブルが起きる可能性があります。
相手が加入する自賠責保険に被害者請求する、事故相手に損害賠償請求をするなどの方法で対処が可能です。
また、任意保険に加入している場合は、無保険車傷害保険や車両保険、弁護士費用特約などを活用できます。任意保険に入っておくと、自分の保険を使ってスムーズにトラブルを解決できるでしょう。
まとめ
自賠責保険は、加入が義務付けられている保険です。加入義務がない任意保険は、自賠責保険をカバーできる補償内容となっているので、セットで加入するとより安心感があります。保険料や更新・加入方法などを正しく理解することと合わせて、必要に応じて任意保険の加入を検討してみましょう。