快適なカーライフのためには欠かせない「カーエアコン」。季節によっては使用しなくても車を走らせることができますが、しばらく使用していなかったエアコンを突然フル活用すると、それまで感じなかったエアコンの不調やトラブルが浮き彫りになることがあるかもしれません。カーエアコンの不調を放置しておくと、思わぬトラブルを招く恐れもあります。
今回は、カーエアコンの故障について、故障の原因や修理方法、修理費用の相場について詳しく解説していきます。
INDEX目次
こんな症状はカーエアコン故障のサイン
カーエアコンに起こる実際のトラブル事例をチェックしていきましょう。
基本的に以下の症状が出ている場合は故障の可能性があります。
- 冷房が効かない
- 暖房が効かない
- 不快な臭いがする
- 風が出ない
- 異音がする
カーエアコンが故障していると快適なドライブができないだけでなく、放置することで故障が悪化してしまうため、上記に挙げたような症状が出た場合には、すみやかに修理をすることをおすすめします。
冷房が効かない
内気循環モードに切り替え「A/C」ボタンを押したうえで、冷房の温度を最低まで下げ、風量を最大にすると、程なくして涼しい風が車内を冷やしてくれるでしょう。しかしこれらを試してみても一向に冷えないどころか生ぬるい風が出てくるだけ、という場合には冷却システムに何らかのトラブルが生じている可能性があります。
冷房が効かない原因
冷房が効かなくなる原因には以下の3つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
コンプレッサーの故障
エアコンをONにするとコンプレッサーが作動し、冷媒ガスを圧縮します。コンプレッサーが故障していると冷媒ガスが送られないため、冷房が効かなくなります。
コンプレッサーはエアコンの心臓部ともいえるため、故障すると全交換が必要となり、修理費用も高額になることが予想されるでしょう。
エアコンガスの不足
エアコンガスは、カーエアコンを冷やすための燃料です。エアコンガスは通常であれば減ることはないため不足することもありませんが、車の振動による影響を受け、ガスが減ってしまうといったことも考えられます。エアコンガスの補充は数千円で簡単にできるでしょう。
エアコンガスが漏れている
パイプやホースなどの部品類に亀裂があると、エアコンガスを送る段階でガス漏れが発生する可能性が考えられます。この場合、亀裂が起きている部品の交換が必要となります。
暖房が効かない
暖房が効かないときは冷房とは反対に、温度を上げてからしばらく経っても冷たい風しか出てこなかったり、生ぬるい風しか出てこなかったりするでしょう。
暖房が効かない原因
暖房が効かない原因には、以下の2つが挙げられます。暖房と冷房では仕組みが異なるため、冷房が効かない原因とはまた違った部分の故障が考えられます。
サーモスタットの故障
サーモスタットはエンジンがオーバーヒートを起こさないように、冷却水の温度調節をして水温を制御する役割を果たしています。サーモスタットが故障すると、冷却水がエンジンに流れてくるため、冷風が出てきてしまいます。
暖房が効かない原因はサーモスタットの故障がもっとも多いトラブルです。
使用開始から約10年、または10万kmが交換時期の目安だといわれていますが、使用環境によっても異なります。
クーラント(冷却水)の不足
暖房における冷却水の役割は、エンジンを冷やすことです。そのため冷却水が減少することによって、暖房が効かないだけでなくエンジンのオーバーヒートなどのトラブルが生じる危険性があります。定期的に補充を行い、水が濁っていれば交換が必要となります。
不快な臭いがする
エアコンをつけると生臭いような、なんともいえない臭いが流れてくることもあるでしょう。特にエアコンをしばらく使用せず運転していた場合、久しぶりにエアコンを作動させると不快な臭いが発生することが多くあります。
不快な臭いの原因
エアコンから流れる不快な臭いの正体は、汚れやカビが原因となっています。
フィルターの汚れ
家庭のエアコンにもフィルターがあるように、カーエアコンにもエアコンフィルターがつけられており、汚れていると不快な臭いの原因となります。
エアコンを使用していなくても、ホコリや排気ガスなどで汚れが蓄積していたり、劣化していたりする可能性があるため、定期的な掃除またはフィルター交換をおすすめします。
フィルター交換の目安頻度は1年または走行距離10,000kmごとです。
エアコン内部のカビ
もうひとつ挙げられるのが、エアコン内部に発生したカビ菌による臭い。エアコンを使用すると水滴がつくため、湿った状態が続くことも考えられます。特に屋内駐車場など、湿気の多い場所に車を停めている人は、カビ菌が発生しやすくなるかもしれません。
整備工場などで分解洗浄を依頼するか、市販の洗浄スプレーを使い、応急処置することも可能です。
風が出ない
エアコンシステムのある部分が故障すると、そもそも風を感じなくなることがあります。風量を最大にしてみても一向に風が出てこない、もしくは著しく風量が弱いといったトラブルが生じた場合は故障を疑いましょう。
風が出ない原因
エアコンの風が出ない原因には「ファンモーターの故障」が考えられます。
ファンモーターの故障
ファンモーターとは、エアコンの風を送り出す装置のこと。いわゆる扇風機のような役割をしています。エアコンをONにしても風が出てこなかったり、どこからか「カラカラ」というような異音がしたりするときは、ファンモーターの故障であると考えて良いでしょう。
ファンモーターが故障した場合には、基本的にパーツごと交換となります。
異音がする
エアコンを作動させると、「カラカラ」「キュルキュル」のような音や、「ガラガラ」「ブーン」というような異音がするときも何らかの異常が発生していると考えて良いでしょう。
異音の原因
異音の原因には先ほども挙げたファンモーターの故障の他、エバポレーターの汚れなどが考えられます。
ファンモーター(またはブロアモーター)の故障
ファンモーターが故障すると、「カラカラ」「キュルキュル」といった異音がしてきます。
モーターが故障すると、送風できなくなってしまうため、エアコンの風が流れてこなくなります。異音がする場合にも交換が必要となるケースが多いでしょう。業者によっては修理で対応してくれるところもあります。
エバポレーター・フィルターの汚れ
エバポレーターとは、ブロアファンから送られた空気の熱を気化させることで冷風を発生させる役割を果たす部分です。ホコリなどの異物が詰まった状態で使用を続けていると、正常に機能せず、「ブーン」や「ガラガラ」というような異音が発生することがあります。
エバポレーターの洗浄だけで済むケースもありますが、場合によってはパーツの交換が必要となります。
カーエアコン修理の費用相場
上記に挙げたような症状が起きた場合には、カーエアコンの修理が必要となります。
快適なカーライフを送るためにも、エアコンに不調が生じた場合は修理をすることをおすすめします。下記に挙げた費用や日数はあくまでも目安です。モノによっては交換パーツがなかったり、取り寄せに時間がかかったりするといったケースも考えられるので、参考程度にご覧ください。
コンプレッサー修理の場合
修理費用相場は「50,000円~100,000円」程度。車種によっても変わります。
修理日数は最短で3日~1週間程度かかると考えておきましょう。
エアコンガス補充の場合
修理費用相場は「3,000円~5,000円」ほど。エアコンガスの補充は2~3時間ほどで済むでしょう。
ガス漏れ修理の場合
ガス漏れの場合、亀裂箇所を点検し、修理します。費用相場は「20,000円~50,000円」程度。部品の交換が必要となるため、3日~1週間以上かかるでしょう。
サーモスタット修理の場合
サーモスタットは「10,000円」前後で修理可能です。修理日数は3日~1週間程度見ておくと良さそうです。
ファンモーター修理の場合
車種によって「40,000円~50,000円」程度の修理費用がかかります。こちらも3日~1週間程度を目安に修理日数を見積もっておくと良いでしょう。
エアコンフィルター交換の場合
エアコンフィルターは「2,000円~5,000円」程度で交換が可能です。フィルター交換のみであれば、10分程度で作業が完了します。車種によってはDIYも可能です。
修理は業者に依頼しよう
エアコンのトラブルは業者に依頼するのが安心です。エアコンは電装系になるため、修理が複雑な部分になります。自分で修理できる箇所もありますが、不適切な作業をしてしまうとエアコンだけでなく、重大な故障を引き起こすことにもなりかねないため、信頼できる整備士などに依頼することをおすすめします。
ディーラー
ディーラー保証期間内であれば、無料で修理してもらえることもあります。ディーラーや加入中の保証内容にもよりますが、購入から3年~5年以内の場合は無料修理が可能か問い合わせてみると良いでしょう。
カー用品専門店
店舗によっても差があるものの、カー用品店では比較的安く修理してもらえるところが多いでしょう。
ただし複雑な作業になる場合や、外車など高級車の場合、施術を断られることもあります。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドは給油ついでに点検してもらえるため手軽にお願いできるメリットがあります。
しかし、こちらも作業が複雑になるような故障など、すべてのケースで対応できるわけではありません。
快適な車内のため定期的なメンテナンスを
カーエアコンが正常に作動するためには、こまめなフィルター掃除や、定期的なメンテナンスを欠かさず行うことをおすすめします。特にフィルター交換は、法定点検などの際にもついでに見てもらえるので、あわせてチェックしておくと良いでしょう。
また暖房と冷房ではエアコンの仕組みが変わるため、夏場は問題なく使えていても、冬場に暖房をつけようとしたら不調が出てくることもあるでしょう。
快適なドライブにはエアコンの正常な動作が欠かせません。それぞれシーズン前にエアコンの動作チェックを忘れずに行いましょう。
まとめ
今回はカーエアコンの故障について、故障の原因や修理方法、修理費用の相場について詳しく解説してきました。
普段何気なく使用しているカーエアコンは、冷房と暖房で使用する内部構造が変わるため、それぞれ故障の原因も異なります。フィルター汚れもエアコンの不調を引き起こす原因になるため、こまめなメンテナンスを行うことをおすすめします。
快適なカーライフを送るためにも、エアコンの不調に気付いたら迷わず修理を依頼しましょう。
とはいえコンプレッサーの交換など修理費用が高額になったり、エアコンの故障によりエンジンにまで被害が及んだりした場合には、車の買い替えも検討すると良いでしょう。
カーエアコンの思わぬ故障で車を手放さなければならなくなったら、ぜひカーリースも視野に新車への乗り換えを検討してみてください。