通り慣れない道や道幅の狭い場所、鋭角になった道など、注意しながら走行していたにも関わらず車を擦ってしまうことは少なくありません。傷の大小関係なく、車を擦ってしまうと精神的ダメージに加えて、金銭的にも大きなダメージを伴います。
このような金銭的ダメージを回避するために加入しているのが車両保険です。しかし、自動車保険でカバーすることが出来るか出来ないのか知らないと損をすることもあります。
今回は、車の擦り傷の修理に車両保険は使えるのか?使う際の注意点について解説していきます。
INDEX目次
車の擦り傷、放置しても大丈夫?
車の擦り傷は、傷の深さにもよりますが大半は塗装が剥がれてしまっています。最近、車のボディにアルミが使用されているものもありますが、ほとんどが鉄が組み合わせ構成されています。鉄のボディに防錆効果のある塗装を吹きかけると車の外装は完成です。
車を擦った際、塗装が剥がれると鉄が剥き出しの状態となります。これを放置すると、空気や水が鉄を酸化させ劣化させるのです。その結果、車に錆がでてしまいます。錆が広がると、塗装さえ不可能となる場合もあるので、擦り傷の入った状態で放置するのは避けましょう。
車の擦り傷に保険は使える?
車に擦り傷ができてしまった場合、基本的には車両保険の適用範囲となり保険修理が可能です。しかし、車両保険には大きく2種類のあるので、自分の加入している保険がどちらであるのか確認しておきましょう。
エコノミー型の保険の場合は注意!
車両保険には、エコノミー型の車両保険があります。エコノミー型の車両保険は、保証範囲をスリム化することで保険料を安く抑えることが可能です。そのため、自損事故が範囲外となっていますので保険は適用されません。
それでは、車両保険の一般条件とエコノミー型の保険適用の範囲を比較していきます。
事故の原因 | 一般条件 |
エコノミー型 (車対車+A) |
---|---|---|
車やバイクとの事故 (事故相手が判明している場合) |
○ | ○ |
当て逃げ (相手が不明の場合) |
○ | × |
自転車との接触 | ○ | × |
縁石や電柱、壁などへの衝突や接触 (自損) |
○ | × |
飛来中・落下中の他物との衝突 | ○ | ○ |
火災・爆発・台風・竜巻・洪水・高潮 | ○ | ○ |
いたずら・落書き・窓ガラスの破損 | ○ | ○ |
地震・噴火・津波 | × | × |
上記のように、一般条件とエコノミーでは補償範囲の幅に大きな差があります。車を走行中にできた擦り傷の原因は、ほとんどが縁石や電柱、壁などへの接触に該当するため、エコノミーでは保険を使用することはできません。
擦り傷に車両保険を使用する際の注意点
擦り傷が車両保険で適用されれば、自己負担なく修理することが可能です。しかし、良く考えず車両保険を使用すれば後悔することがあります。
それでは、車両保険を使用する際の注意点を挙げていきます。
等級がダウンする
車両保険を使用すると等級が3等級ダウンします。さらに、同じ等級でも事故なし係数と事故あり係数では保険料の割引率が違うため、保険料が高くなるのは避けられません。車両保険の場合、保険を使用した後の保険料は約50,000円から高くなると100,000円程度上がる場合もあるのです。
擦り傷の度合いによっては、自分で修理したり自己負担で修理する方が出費を安く抑えることができます。
軽い擦り傷は自分で修理できる!
車両保険を使用すると、修理費用を安く抑えられたと思います。しかし、後に保険料が高くなったり事故あり係数の間に再び保険を使用すると加入制限をかけられる恐れも出てくますが、軽い擦り傷であれば自分で修理することも可能です。
自分で塗装をする場合、必要な道具は下記のようになります。
- 塗料
- サンドペーパー
- シリコンオフ
- マスキング材
カー用品店は、各メーカーの色を取り揃えているので自分の車のカラーナンバーを参考に購入しましょう。最近では、タッチペンやスプレータイプの塗料も多く簡単に塗料できるのでオススメです。
初めに擦り傷を軽くコンパクトで磨きます。磨いた場所の汚れを取るためシリコンオフで拭き取ります。あとは、マスキング材を擦り傷の周囲に貼りスプレーやスプレー塗りつけましょう。
自分で修理する場合の費用相場
自分で修理した場合、修理費用は材料費だけとなります。塗料は、色や分量により違いますが、タッチペンであれば1,000円程度から購入可能です。
マスキングやシリコンオフなどの他の材料を含めても5,000円程度で塗装ができます。
深い傷はプロに依頼しよう
表面だけの擦り傷であれば、自分で材料を揃えて塗装をすれば費用は安く抑えられます。しかし、塗装が剥がれて下地や車の鉄が見えてしまうほどの深い傷を自分で塗装するのは困難で、プロに依頼するのが妥当です。
それでは、プロに依頼するとどのくらいの費用がかかるのか?費用相場について見ていきます。
プロに修理を依頼する場合の費用相場
例えば、バンパーの擦り傷を塗装する場合でもプロの仕事はバンパーを外すところから始まります。また、塗装範囲も傷の周辺にぼかしを入れて周囲のと色合いを揃えるため、傷の深さや範囲によってはバンパー1本を塗装することもあるのです。
修理費用の目安は下記の通りです。
- フロントバンパー:約15,000円~
- リアバンパー:約18,000円〜
- フェンダー・ドアなどの側面:約80,000円〜
さらに、単色のソリッドと光沢のあるパールでは塗料が違うためパールの方が割高です。
車の擦り傷に保険を適用するかは修理にかかる費用次第
前述にもありますが、保険は使用すれば等級がダウンします。それに伴い、保険料も車種によって10万円程度高くなる場合もあるため、擦り傷だけの修理で使用するのは考えものです。
浅い擦り傷であれば自分で材料を購入して塗装することも可能です。プロに依頼しても2万円程度で修理できることがあるので、保険を使うより自費で修理をする方が損はしません。しかし、ドアからフェンダーなど広範囲にわたる擦り傷や深い擦り傷は、自分で塗装することがほぼ不可能です。修理費用も10万円近くかかることになることが予想されます。この場合は、念のため保険会社に一報しておきましょう。
まとめ
今回は、車に擦り傷が入ってしまった時、ちょっとのキズも修理に車両保険は使えるのか、使う時の注意点について解説してきました。
車の塗装が剥がれた状態で放置すると錆が広がり、車の劣化が進むので、早めの対応が必須です。そんな時、役に立つのが自動車保険ですが、車両保険には2種類あり、一般条件に加入していないと自分の不注意でつけた擦り傷には適応されません。仮に適用できても等級ダウンは避けられず保険料が高くなることは必須です。
浅い擦り傷であれば、自分で塗装をすることもできますが、材料を揃えたり塗装に費やす時間と場所を確保しなければなりません。
もし、車に擦り傷がついてしまった場合、傷の程度を確認した上で、車両保険の補償範囲の確認とプロに見積もりを依頼することをオススメします。