クラウンの特徴

トヨタクラウンといえば、1955年より歴史が続く伝統あるトヨタの最上級モデル（レクサス、センチュリー除く）です。歴代モデルは最高級の国産セダンを求める多くのファンから愛され、いつかは乗ってみたい憧れの車でした。そして、クラウンは時代に合わせてモデルチェンジを繰り返しながら長年にわたって国産車の頂点に君臨してきたのです。

そんなクラウンは、初代モデルから先代の15代目モデルまでは、高級車の定番といえる4ドアセダンを基本としたモデル構成となっていましたが、2022年7月フルモデルチェンジを果たし、それまでの高級4ドアセダンのイメージを一新。「クロスオーバー」、「スポーツ」、「セダン」、「エステート」という4つのボディタイプへと生まれ変わりました。そして、そんな新生クラウンの第一弾として、2022年7月に発売されたのがクラウンクロスオーバーです。

クラウンクロスオーバーは、セダンではなくその名の通りセダンとSUVを融合させたようなクロスオーバーモデルとなっており、以前のクラウンとはイメージが全く異なっています。単なるSUVではなく高級サルーンのような革新的なパッケージを持つ新型クラウンクロスオーバーは、先代クラウンとどんな点が違っていて何が進化したのか、またどのような特徴や魅力があるのか、新型クラウンの第一弾、クラウンクロスオーバーについて詳しくご紹介します。

クラウンクロスオーバーはそれまでのクラウンとは全く違った先進的でスポーティなスタイリングが特徴です。クラウンというとベテランドライバー向けのコンサバなセダンというイメージがありましたが、新型クラウンクロスオーバーは、高級車らしいエレガントさを持ちながら、SUV的なスポーティなデザインを持っており単なるハッチバックではない独立したトランクを持つ個性的なスタイルを持っています。保守的な方は「これがクラウンなのか？」など疑問を持つかもしれませんが、このスタイリングは単純にスタイリッシュで非常に魅力的といえます。

またパワフルかつ燃費性能に優れた2種類のハイブリッドシステムや、全席特等席を目指したという上質な室内空間もさすが高級車的な魅力があります。さらに、最新スペックを持つトヨタの予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が全車標準装備となっている点も魅力といえるでしょう。

クラウンクロスオーバーはトヨタの高級モデルだけあって車両価格は以下のように高めです。しかし、先代のクラウンセダンの車両価格は、489万円～739万円でしたので、車両価格が大幅にアップしたわけではありません。これから発売となるクロスオーバー以外のクラウンの価格がどうなるかは不明ですが、クラウンクロスオーバーの優れた機能性や快適なインテリア、燃費性能や動力性能を考えれば妥当な価格といえるのでしょう。

エントリーグレードのXは比較的装備がシンプルですが、Gグレード以上となると基本的な装備内容は充実しています。ホイールはグレードによって変わりますが19~21インチのアルミホイールが標準装備で、グリルシャッターやメッキエンブレムはXグレード、Gグレード系では標準装備となっています。

ヘッドライトとクリアランスランプは全グレードLEDですが、RS系やG“Advanced・Leather Package”、G“Leather Package”といった上級グレードでは4 眼 LED ヘッドランプ＋ LED クリアランスランプ（センターランプ点灯機能＆おむかえ照明機能付）/LEDデイライト（センターランプ点灯機能付）＋ LED フロントターンランプ＋ヘッドランプクリーナーとなります。

それ以外のミドルグレード以下ではBi-Beam LED ヘッドランプ＋ LEDクリアランスランプ（センターランプ点灯機能＆おむかえ照明機能付）/LED デイライト（センターランプ点灯機能付）＋ LED フロントターンランプBi-Beamタイプとなります。

インテリアでは全グレードに本革巻のステアリング（ステアリングスイッチ付き）と本革シフトノブが装着され、G“Advanced・Leather Package”以上の上級グレードのステアリングにはステアリングヒーターも付きます。さらに、シートはXグレードを除き全車が電動（運転席8ウェイパワー）で、G“Leather Package”以上のシートには3段階温度設定機能付きのシートヒーターも内蔵となります。

ディスプレイオーディオは大画面の12.3型HDディスプレイタイプが全グレードに標準で備わりバックガイドモニターやパノラミックビューモニターもエントリーグレード以外に標準となります。このディスプレイオーディオはT-Connectにも対応しており専用アプリを使えば車に乗り込む前に車内を快適な温度に設定できるほか、ドアロックや駐車位置などの確認も可能です。

クラウンといえば後輪駆動のFRというイメージがありますが、クラウンクロスオーバーはSUVらしくFFベースの全車ハイブリッドのE-Four（4WD）となっています。搭載されるパワーユニットは2.4Lターボエンジンエンジン＋モーターのハイブリッドと、2.5Lガソリンエンジン＋モーターのハイブリッドという2種類です。

2.4Lターボハイブリッドは最高出力200kW（272PS）、最大トルク460N・m（46.9kgf・m）の2.4Lエンジンに、最高出力61 kWのフロントモーターと同59 kWのリヤモーターを組み合わせています。そのシステム出力は257kW（349PS）とかなりのハイパワー。本格的なスポーツカー並みで本気で走りを楽しむことも可能でしょう。

2.5Lハイブリッドは最高出力137kW（186PS）、最大トルク221N・m（22.5kgf・m）のエンジンに、最高出力88 kWのフロントモーターと同40 kWのリヤモーターを組み合わせており、そのシステム出力は172kW（234PS）です。RSほどの力強さはありませんが、200馬力オーバーなので動力性能は十分以上、スポーティな走りはさすがに難しいですが、高速道路でも余裕ある走りが味わえるはずです。

先進安全装備に関しては「Toyota Safety Sense」がもちろん全グレード標準装備となっています。2種類のセンサーを検知システムに使用する最新スペックで、以下のような装備がセットで搭載されています。

• プリクラッシュセーフティ
• 緊急時操舵支援
• フロントクロストラフィックアラート
• レーンチェンジアシスト
• レーントレーシングアシスト
• レーンディパーチャーアラート
• レーンディパーチャーアラート
• レーダークルーズコントロール
• アダプティブハイビームシステム
• ロードサインアシスト
• ドライバー異常時対応システム
• プロアクティブドライビングアシスト
• 発進遅れ告知機能
• ブラインドスポットモニター
• パーキングサポートブレーキ

このほかにRS系のグレードでは高度運転支援技術「トヨタ チームメイト」にもオプションで対応しており、渋滞時の安全運転支援や駐車をサポートする駐車支援技術なども利用可能です。

クラウンクロスオーバーは全車ハイブリッドのため燃費性能に優れています。RS系のグレードが搭載する2.4LターボハイブリッドのWLTCモード燃費は15.7㎞/Lです。スポーティなパワーユニットのため燃料はハイオクですし特別燃費に優れているというわけではありませんが。システム出力約350馬力と考えれば決して悪くありません。

そして、2.5LハイブリッドのWLTCモード燃費は22.4㎞/Lです。こちらは車格から考えても非常に優れています。また、2.5Lハイブリッドは燃料もレギュラーガソリンなのでかなり経済的だといえます。

クラウンクロスオーバーのグレードは大きく分けると「RS」、「G」、「X」の3タイプです。Xグレードがエントリーグレードで、その上にミドルグレードのGグレードがあります。さらにこのGグレードには「G”Advanced”」、「G”Leather Package”」と「G”Advanced·Leather Package”」の3つのバリエーションがあります。

最上級グレードとして設定されているのが、2.4Lターボハイブリッドを搭載する「RS」グレードです。さらにこのRSグレードにはトヨタプレミアムサウンドシステムやデジタルキー、ハンズフリーパワートランクリッドなどが装備された「RS “Advanced”」グレードが用意されています。このRS “Advanced”グレードがクラウンクロスオーバーの最上級グレードとなります。

国産車でクラウンクロスオーバーと似ているクルマとなると正直見つかりません。ライバルとして挙げるとするとマツダの高級クロスオーバーSUV、CX-60になるでしょうか。

そのほか今後発売予定の同じクラウンシリーズである「スポーツ」や「セダン」、「エステート」などが同じクラウンですが似ている車といえるでしょう。一番のライバルとなるのはこれらの兄弟車かもしれません。

先代クラウンとクラウンクロスオーバーの違いはまず駆動方式です。先代クラウンは歴代クラウンシリーズが守り続けてきたFR（フロントエンジン、リア駆動）でしたが、クラウンクロスオーバーはFF（フロントエンジン、フロント駆動）をベースとしたE-Four（4WD）です。

ベテランドライバーであれば、高級車=FRというイメージがありクラウンがFRでなくなったことに違和感を覚える方もいるかもしれませんが、クラウンクロスオーバーは、全く新しいクラウンであり、ハイブリッドシステムを搭載したE-Four（電動4WD）ですので、もはや比べるものではないでしょう。

エクステリアもかなりイメージが違います。4ドアセダンという古典的な高級車像を守り続けてきた先代までのクラウンに対して、クラウンクロスオーバーはSUVとセダンを融合したクロスオーバースタイルを採用。見た目はとても先進的で、フォルムも車高が高く、大径ホイールを履くなど今どきのスタイリッシュさがあります。

先代までのクラウンは歴代クラウンを乗り続けてきた比較的保守的なベテランドライバーをターゲットにしていた印象がありますが、クラウンクロスオーバーはもっと幅広く、新しいものを受け入れやすい若いドライバーをターゲットにしているという印象があります。

クラウンクロスオーバーは、先進的でエレガントなデザインが大きな特徴です。またインテリアもデザインはシンプルで上質かつ洗練されているので、高級なクルマに、伝統よりも新しさや美しさ求める人に向いているでしょう。

また、クラウンクロスオーバーはSUV的な広い室内空間も持っています。後席は足元も広さくシートも座り心地が良く快適です。またハイブリッドなので静粛性も高く、独立した広いラゲッジスペースにはたくさんの荷物を収納できます。ロングドライブや旅行、アウトドアホビーなど荷物をたくさん積んで長距離のドライブする機会が多いという方にも向いています。

さらに車に高い安全性を求める人にもクラウンクロスオーバーは向いています。最新スペックの安全技術や運転支援システムが搭載されており、衝突回避やドライバーアシスト機能も提供してくれます。家族を乗せる機会が多いという安全性を何より優先したい方にとってもクラウンクロスオーバーは最適な選択肢となるのではないでしょうか。

新型クラウンの第一弾であるクラウンクロスオーバーについてご紹介しました。クラウンは先代まで伝統的で高級車の王道的なセダンでありコンサバな車というイメージがありました。しかし、新型クラウンはそのイメージを一新、第一弾であるクラウンクロスオーバーはセダンとSUVを融合した全く新しい姿で登場しました。

従来のクラウンと比べるとそのイメージがあまりにも変わりすぎて、なかなか受け入れられないという方もいるようですが、逆にその先進的なスタイリングや、モダンなインテリアなど全く新しいクルマへと生まれ変わったことで、ファン層を拡大することに成功しているようです。

今後「スポーツ」や「セダン」、「エステート」といった別のボディタイプのクラウンの発売も予定されていますが、「クラウンクロスオーバー」はSUVとセダンを融合した新ジャンルのクラウンとして、クラウンファンだけでなく幅広い層から支持されていくのではないでしょうか。